## スチュアートの政治経済学の諸原理の関連著作
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アダム・スミス 『国富論』
ジョン・スチュアート・ミルの『経済学原理』は、18世紀後半に出版されたアダム・スミスの『国富論』の影響を大きく受けています。
『国富論』は、経済学を体系的に論じた最初の書物として知られており、自由主義経済のバイブルとも呼ばれています。スミスは、人間の経済活動を分析し、「見えざる手」によって市場メカニズムが働くことで、社会全体の利益が最大化されると主張しました。
ミルはスミスの思想を受け継ぎ、市場メカニズムの重要性を認めつつも、政府による介入の必要性も主張しました。これは、スミスが活躍した時代とミルの時代では、社会状況が大きく変化していたためです。産業革命の進展により、貧富の格差が拡大し、労働問題などが深刻化していました。ミルは、このような社会問題を解決するために、政府が積極的な役割を果たすべきだと考えました。
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デヴィッド・リカード 『経済学および課税の原理』
リカードは、比較優位の原理や地代論などの経済理論を体系的に構築し、古典派経済学の完成に貢献しました。
ミルはリカードの経済理論を高く評価し、自身の著作にも多く引用しています。特に、リカードの地代論は、ミルの分配論に大きな影響を与えました。リカードは、地代の発生メカニズムを解明し、地代が土地所有者にもたらす不労所得であると主張しました。ミルもまた、地代が社会的不平等を生み出す要因の一つであると認識し、地代に関する改革の必要性を訴えました。
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トマス・ロバート・マルサス 『人口論』
マルサスは、人口増加が経済成長を上回ることで、貧困や飢饉が発生すると主張しました。
ミルはマルサスの「人口論」を批判的に継承しました。ミルは、人口増加そのものが問題なのではなく、資源の分配や社会制度の問題が貧困や飢饉を引き起こすと考えました。その上で、教育の普及や避妊などにより人口増加を抑制することの重要性を説きました。
これらの著作は、スチュアート・ミルの経済思想を形成する上で重要な役割を果たしました。ミルは、これらの先人の思想を批判的に継承し、独自の経済理論を構築しました。