## スチュアートの政治経済学の諸原理の構成
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序論
本書の構成と論述方法を述べています。本書では、まず富の生産に関する法則を考察し、次に富の分配に関する法則、最後に富の交換に関する法則を考察します。これは、生産が論理的に分配や交換に先行すると考えたためです。また、本書では帰納法ではなく演繹法を用いて論述を進めていきます。
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第1巻 生産
富の生産とその発展に関わる諸法則を論じています。
まず、生産の三要素として労働、資本、土地を挙げ、それぞれの役割を詳しく解説します。
次に、労働の生産性を左右する要因として、労働者の熟練度、労働の組合せ、資本の大きさなどを分析します。
さらに、人口増加と資本の蓄積が経済成長に与える影響を考察し、その中で「収穫逓減の法則」を提示します。
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第2巻 分配
生産された富がどのように社会の各階級(労働者、資本家、地主)に分配されるのかを論じています。
まず、分配の決定要因として、需要と供給の法則、競争、慣習などを挙げ、それぞれの影響力を分析します。
次に、賃金、利潤、地代の決定原理をそれぞれ詳しく解説します。
賃金については、生活水準と人口増加の関係から成り立つ「賃金基金説」を展開します。
利潤については、資本の需要と供給、および資本の危険や信用などの要素によって決定されると説明します。
地代については、土地の限界生産力に基づいて決定されるとする「地代法則」を展開します。
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第3巻 交換
富の交換に関する諸法則、特に価値と価格の理論、貨幣の役割、国際貿易などを論じています。
まず、価値の概念を定義し、使用価値と交換価値を区別します。
次に、交換価値の決定要因として、生産費用説を採用し、労働価値説を批判します。
貨幣については、その機能や価値の決定原理を解説し、紙幣の発行に関する考察も行います。
国際貿易については、比較生産費説に基づいて、自由貿易の利益を主張します。
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第4巻 個別消費を除く社会全体の富に関する諸法則
これまでの分析を踏まえ、政府の役割や経済政策のあり方について論じています。
まず、政府の役割は、国防、司法、公共事業など、市場メカニズムでは十分に供給できない公共サービスを提供することに限定されるべきだと主張します。
次に、課税の原則や公債の問題について考察し、政府による経済活動への過剰な介入を批判します。
最後に、自由貿易の推進、教育の普及、貧困対策など、経済成長と社会進歩のための具体的な政策提言を行っています。