## スターリンのマルクス主義と民族問題の発想
マルクス主義における民族問題
マルクスとエンゲルスは、資本主義の矛盾と階級闘争に焦点を当てており、民族問題に関する体系的な理論を展開しませんでした。彼らは、資本主義の進展に伴い、民族の違いは徐々に消滅し、国際的なプロレタリアートの団結が実現すると考えていました。
スターリンの民族定義
スターリンは、1913年に発表した論文「マルクス主義と民族問題」の中で、独自の民族定義を提示しました。彼は、民族を共通の言語、領土、経済生活、文化によって特徴付けられる歴史的に形成された安定した共同体であると定義しました。この定義は、当時の社会科学における民族主義的傾向を反映したものであり、マルクスとエンゲルスが想定していた国際主義的な視点とは異なるものでした。
民族自決権
スターリンは、民族自決権を認めながらも、それを社会主義革命の達成に従属させると主張しました。彼は、民族自決権はあくまで戦術的なスローガンであり、プロレタリアートの階級闘争を促進するために利用されるべきだと考えました。
ソ連における民族政策
スターリンは、ソ連の指導者として、自らの民族理論に基づいた政策を実施しました。彼は、ソ連邦を構成する各共和国に一定の文化的自治を認めながらも、政治・経済的には中央集権体制を維持しました。また、スターリンは少数民族に対して弾圧を加え、強制移住させるなど、民族問題においても独裁的な手法を用いました。