## スターリンのマルクス主義と民族問題から得られるもの
スターリンによる「民族」の定義
スターリンは本書において、「民族とは、歴史的に形成された、言語・領土・経済生活・精神的様式・それらに現れる文化の共通性によって特徴づけられる、安定した人間の共同体である」と定義しています。 この定義は、民族を客観的な要素で規定しようとするものであり、当時のマルクス主義の民族理論に大きな影響を与えました。
民族問題への唯物史観的アプローチ
スターリンは、民族問題を階級闘争と結びついたものとして捉え、資本主義の矛盾によって生み出されたものと分析しています。 彼は、資本主義の進展が民族間の経済的不平等を拡大させ、それが民族主義や民族紛争の根源となると主張しました。 この視点は、民族問題を経済的・社会的な構造の中に位置づけて分析する、唯物史観に基づいたアプローチだと言えるでしょう。
民族自決権の主張と限界
スターリンは、民族を抑圧から解放し、社会主義革命を達成するためには、民族自決権が不可欠であると主張しました。 彼は、すべての民族が自らの意思で国家を形成し、他の民族と平等な立場で共存する権利を持つべきだとしました。 しかし同時に、民族自決権はあくまでプロレタリアートの革命闘争の手段として位置づけられており、階級闘争を阻害するような形で用いられるべきではないとも論じています。
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