スタンダールの赤と黒に影響を与えた本
ルソーの『告白』の影響
スタンダールの『赤と黒』は、19世紀フランス文学を代表する傑作として知られていますが、その創作背景には、様々な文学作品や思想の影響が見て取れます。中でも、ジャン=ジャック・ルソーの自伝的小
説『告白』は、『赤と黒』の主人公ジュリアン・ソレルの心情や、当時の社会に対する反抗的な姿勢を理解する上で欠かせない作品と言えるでしょう。
『告白』は、ルソーが自身の半生を赤裸々に綴った作品であり、そこには社会の慣習や道徳に反発しながらも、自身の感性や欲望に忠実に生きようとするルソーの姿が描かれています。
『赤と黒』の主人公ジュリアンもまた、ルソーと同じく、自身の野心と社会の矛盾との間で葛藤する青年として描かれています。
貧しい家に生まれながらも、優れた知性と向上心を持つジュリアンは、当時のフランス社会における成功の道は、教会か軍隊しかないと考えます。聖職者という道を選びながらも、内心では権力や名声への野心を抱くジュリアンは、やがて自分の立場を利用して、上流階級の女性に近づこうとします。
このようなジュリアンの姿は、当時の社会の不平等や偽善に怒りを覚え、自らの感性に従って行動するルソーの姿と重なります。
また、『告白』でルソーが自身の内面を赤裸々に告白しているように、『赤と黒』でもジュリアンの心理描写が重要な役割を果たしています。
読者は、ジュリアンの心の葛藤や、社会に対する反抗心、そして恋愛感情など、彼の内面世界を深く理解することができます。
このように、『告白』は、主人公の性格や心理描写、社会に対する反抗的な姿勢といった点で、『赤と黒』に大きな影響を与えていると言えるでしょう。