スタインベックの真珠を面白く読む方法
1. 時代背景と社会問題について理解を深める
「真珠」が書かれた1940年代は、世界恐慌や第二次世界大戦の影響が色濃く残る時代でした。アメリカ社会は経済的な格差や人種差別が深刻化し、スタインベック自身も社会派作家として貧困や労働問題をテーマにした作品を多く発表していました。「真珠」の舞台となるメキシコの漁村も、そうした社会的な問題を抱えた場所として描かれています。
当時の社会状況や歴史的背景を事前に調べておくことで、「真珠」の世界観をより深く理解することができます。特に、当時のメキシコにおける貧困問題や、先住民に対する差別問題について調べておくことで、主人公キノたちの置かれた状況や心情がよりリアルに感じられるでしょう。
2. 登場人物の心情の変化に注目する
「真珠」は、貧しい真珠採りのキノが、大粒の真珠を手に入れたことで運命が一変する物語です。しかし、その幸運は同時に、キノとその家族に様々な試練をもたらします。物語が進むにつれて、キノの心情は希望から絶望、そして狂気へと変化していきます。
スタインベックは、簡潔ながらも力強い文章でキノの心の動きを繊細に描いています。彼の行動や言動、そして周りの人物との関係性の変化に注目することで、キノの心の奥底で何が起きているのかを読み解くことができます。また、妻のフアナや幼い息子コヨリートの視点から物語を読み解くことも、キノの心情変化をより深く理解する上で有効です。
3. 象徴的な表現を読み解く
「真珠」には、真珠やサソリ、カヌーなど、物語の重要な要素となる象徴的なモチーフが数多く登場します。例えば、大粒の真珠は、一見すると幸運の象徴ですが、同時に欲望や破滅を招くものでもあることを暗示しています。
これらの象徴的な表現は、物語に深みを与え、読者に様々な解釈を促します。それぞれのモチーフが持つ意味や、物語全体における役割について考えながら読むことで、「真珠」をより多角的に楽しむことができるでしょう。また、当時のメキシコにおける文化や風習、宗教観などを調べておくことで、象徴的な表現の理解を深めることもできます。