## スタインベックのエデンの東の構成
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第一部
第一部は、物語の舞台となるカリフォルニア州サリナス渓谷の風景描写から始まります。肥沃な土地と厳しい自然環境が対比的に描かれ、楽園と同時に試練の場としての側面が強調されます。
このパートでは、主要な二つの家族、ハミルトン家とトラスク家の歴史が語られます。南北戦争の英雄であるサミュエル・ハミルトンとその妻ライラを中心に、敬虔で勤勉なハミルトン家が形成されていきます。一方、謎めいた過去を持つサイラス・トラスクは、息子アダムを連れてサリナス渓谷に現れます。
ハミルトン家の物語は、開拓時代のアメリカを象徴するような、勤勉さと家族愛を重視する価値観を体現しています。対照的に、トラスク家の物語は、謎と不安に満ちており、後の悲劇を予感させます。
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第二部
第二部では、アダム・トラスクと、キャシー・エイムズという謎めいた女性との出会いが描かれます。キャシーは美しく、魅力的だが、冷酷で manipulative な側面を持ち合わせています。
アダムはキャシーに深く惹かれ、結婚しますが、二人の関係は最初から暗雲が立ち込めます。キャシーはアダムとの結婚生活に馴染めず、彼の純粋さに嫌悪感を抱き始めます。
一方、アダムの双子の弟、チャールズは、兄とは対照的に、現実的で、時には冷酷な一面を見せる人物として描かれます。キャシーは、アダムよりもチャールズに惹かれ、二人の間には秘密の関係が生まれます。
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第三部
第三部では、キャシーが双子を出産しますが、アダムの子供ではなく、チャールズとの間にできた子供であることが明らかになります。キャシーは子供とアダムを捨て去り、アダムは絶望の淵に突き落とされます。
その後、アダムは、中国人使用人のリーや、ハミルトン家の長女アブラの助けを得て、立ち直っていきます。アダムは、自分の息子たちを、カインとアベルになぞらえて、それぞれカレブとアロンと名付けます。
このパートでは、旧約聖書の「カインとアベル」の物語が、トラスク家の物語と重ね合わされて描かれます。兄カインが弟アベルを殺害する物語は、アダム、チャールズ、キャシーの三角関係、そしてカレブとアロンの運命を暗示するモチーフとして機能します。
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第四部
第四部では、成長したカレブとアロンの対照的な性格が描かれます。カレブは、反抗的で、父親の愛情を求めても得られないことに苦悩しています。一方、アロンは、優しく、素直で、皆から愛される存在です。
カレブは、偶然にも、自分の母親が生きていることを知り、彼女のもとを訪れます。しかし、再会は悲劇的な結末を迎えます。
物語は、第一次世界大戦の勃発と、アロンの入隊によって、締めくくられます。カレブは、自分の罪と償い、そして父親との和解という、新たな課題に直面することになります。