ジスモンディの政治経済学新原理を読む前に
古典派経済学の基礎をおさえる
ジスモンディは、アダム・スミスに代表される古典派経済学を批判的に継承した経済学者です。「新原理」を理解するためには、まずスミスやマルサスの議論を押さえておく必要があります。特に、スミスの「国富論」は必読書と言えるでしょう。
古典派経済学は、労働価値説、自由放任主義、市場メカニズムへの信頼といった特徴を持ちます。これらの概念を理解しておくことで、「新原理」でジスモンディが何を批判し、どのような主張を展開しようとしたのかが明確になるでしょう。
産業革命期の社会状況を知る
ジスモンディは、産業革命が進行する19世紀初頭のヨーロッパ社会を目の当たりにしました。工場制機械工業の発展は、大量生産、労働者の都市集中、貧富の格差拡大といった様々な社会問題を引き起こしました。
「新原理」は、こうした社会問題に対するジスモンディの危機感と、その解決策を模索した著作です。当時の社会状況や人々の暮らしぶりを理解することで、ジスモンディの思想がより深く理解できるようになります。
ジスモンディの生い立ちと思想背景を理解する
ジスモンディは、スイスの裕福な銀行家の家に生まれ、古典的な教養を身につけました。フランス革命やナポレオン戦争を経験する中で、社会や経済の問題に関心を抱くようになりました。
彼の思想は、ルソーやシスモンディなど、啓蒙主義や社会主義の影響を受けています。これらの思想的背景を理解しておくことで、「新原理」で展開される議論の根底にある思想や問題意識をより深く理解することができます。