## ジェームズの宗教的経験の諸相と時間
###
宗教的経験における時間性
ウィリアム・ジェームズは、その代表作『宗教的経験の諸相』の中で、宗教的経験における時間性の重要性を指摘しています。彼は、宗教的経験が、通常の意識状態における時間感覚とは異なる、独自の時間性を持ち合わせていることを示唆しました。
ジェームズは、宗教的経験における時間性を理解するために、「聖なるもの」との遭遇体験に注目しました。彼によれば、「聖なるもの」との遭遇は、瞬間的な出来事であると同時に、永遠に続くかのような感覚を伴うことがあります。
例えば、回心体験は、一瞬のうちに訪れる劇的な変化として経験される一方、その影響はその後の人生全体に及び、永遠に続くものとして感じられます。また、神秘体験においては、時間感覚が消失し、永遠の中に溶け込むような感覚が報告されることがあります。
このように、ジェームズは、宗教的経験における時間性が、通常の意識状態における時間感覚とは異なり、瞬間と永遠、変化と持続が paradoxically に共存するものであることを示しました。彼は、この特異な時間性が、宗教的経験の持つ力強さや永続的な影響を与える要因の一つであると考えていました。