## ジェイムズのプラグマティズムの周辺
プラグマティズムの起源と展開
プラグマティズムは、19世紀後半にアメリカ合衆国で生まれた哲学の潮流です。その起源は、チャールズ・サンダース・パースの1878年の論文「固定観念を明確にする方法について」にまで遡ることができます。パースはこの論文の中で、「概念の意味はその実践的な効果によって決定される」というプラグマティズムの最大の特徴といえる思想を提示しました。
ウィリアム・ジェイムズとプラグマティズム
ウィリアム・ジェイムズは、パースのプラグマティズムをより発展させ、幅広い人々に知らしめた人物として知られています。ジェイムズは、パースの思想をより心理学的な視点から解釈し、人間の経験や心理を重視したプラグマティズムを展開しました。
ジェイムズは、1907年に出版した著書『プラグマティズム』の中で、自身のプラグマティズムの立場を明確に示しています。彼は、プラグマティズムを「真理とは有用な信念である」というテーゼで表現しました。これは、ある信念が真であるかどうかは、それが実際に私たちの人生においてどのように機能するのか、どのような結果をもたらすのかによって判断されるべきである、という考え方です。
ジェイムズのプラグマティズムにおける主要な概念
ジェイムズのプラグマティズムにおいて重要な概念としては、以下の点が挙げられます。
* **経験**: ジェイムズは、人間の経験こそが真理の根拠となると考えました。彼は、哲学が抽象的な概念論争に陥ることを批判し、具体的な人間の経験に根ざした哲学を主張しました。
* **有用性**: ジェイムズにとって、ある信念が真であるかどうかは、それが私たちの人生にとって有用であるかどうかによって判断されます。有用な信念とは、私たちがより良く生きるため、問題を解決するため、幸福を実現するために役立つ信念です。
* **真理の可謬性**: ジェイムズは、真理は絶対的なものではなく、常に変化しうるものであると考えました。私たちの経験や知識が増えるにつれて、真理とされてきたことも修正を迫られる可能性があります。
* **ラディカルな経験主義**: ジェイムズは、経験の範囲を従来の哲学よりも広くとらえ、宗教的経験や神秘的経験なども重要な経験として重視しました。
ジェイムズのプラグマティズムの影響
ジェイムズのプラグマティズムは、20世紀のアメリカの哲学に大きな影響を与え、ジョン・デューイやジョージ・ハーバート・ミードなどのプラグマティストを生み出す土壌となりました。また、哲学の分野だけでなく、教育学、心理学、社会学など、様々な分野にも影響を与えています.