シンガーの動物の開放の対極
人間中心主義を強く主張する歴史的名著
ピーター・シンガーの『動物の解放』は、動物の権利運動に多大な影響を与え、人間中心主義的な倫理観に対する根本的な問い直しを迫るものでした。シンガーの主張は、感覚を持つすべての存在の利益を平等に考慮すべきだというものであり、その影響は今日まで続いています。
対極に位置する思想
シンガーの主張とは対照的に、歴史上には人間中心主義を強く主張し、人間と動物の間に明確な線引きを引く思想が数多く存在してきました。その中でも、アリストテレスの『政治学』は、古代ギリシャにおける人間中心主義的な倫理観を代表する作品として挙げられます。
アリストテレスの『政治学』における人間中心主義
アリストテレスは、人間は理性を持つという点で他の動物とは根本的に異なり、その理性こそが人間を政治的動物たらしめるとしました。彼は、自然界における秩序は上位の存在が下位の存在を支配するというものであり、人間は理性を持つがゆえに動物よりも上位に位置付けられると主張しました。そして、動物は人間のために存在し、人間は動物を利用する権利を持つと結論づけました。
『政治学』の影響
アリストテレスの思想は、西洋思想に多大な影響を与え、その人間中心主義的な倫理観は、長らくの間、西洋社会における動物に対する扱いを正当化する根拠として用いられてきました。