## シュムペンターの資本主義・社会主義・民主主義の表象
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資本主義の表象
シュンペーターは、古典派経済学のような「均衡」概念で捉えられる静的な経済ではなく、絶えず変化し続ける**動態的な経済**として資本主義を捉えました。彼の理論の中心には**「イノベーション」**があり、これは新しい財・サービス、生産方法、市場、資源、組織形態などを導入することを意味します。そして、このイノベーションを生み出す主体こそが**「企業者」**です。
シュンペーターは、企業家が新しい組み合わせを市場に導入することで、一時的な独占利潤(シュンペーターはこれを**「企業者利潤」**と呼びます)を得ると考えました。しかし、このイノベーションは模倣者を生み出し、競争が激化することで企業者利潤は消滅し、経済は新たな均衡状態へと移行します。この**「創造的破壊」**のプロセスこそが、資本主義のダイナミズムであり、経済発展の原動力であるとシュンペーターは主張しました。
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社会主義の表象
シュンペーターは、社会主義経済の実現可能性について考察し、資本主義経済が成熟するにつれて、**社会主義への移行は避けられない**と予測しました。彼は、資本主義の成功が、皮肉にもその制度を衰退させる要因を生み出すと論じました。
具体的には、大企業の台頭による企業者機能の衰退、官僚主義の蔓延、知的階級による資本主義批判の広まりなどをその要因として挙げました。これらの要因によって資本主義は衰退し、**社会主義がその役割を代替する**とシュンペーターは予測しました。
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民主主義の表象
シュンペーターは、民主主義を**「人民の、人民による、人民のための政治」**という古典的な定義には懐疑的でした。彼は、一般市民は政治に対して明確な意思や能力を持たず、むしろ**政治に無関心で、容易に操作される存在**であると考えたのです。
シュンペーターは、民主主義を**「リーダーシップを選出するための制度」**として捉え直しました。政治におけるリーダーシップを競争的に獲得するために、政治家たちは政策やビジョンを提示し、有権者の支持を競います。この**「競争」こそが民主主義の本質**であるとシュンペーターは主張しました。