## シュミットの政治的なものの概念の案内
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友と敵の区別
カール・シュミットは、20世紀のドイツの法学者、政治哲学者であり、その主著『政治的なものの概念』（1932年）で提示された「政治的なものの概念」で広く知られています。シュミットは、政治的なものを他の領域、特に道徳や経済から区別することを試みました。彼は、政治的なものの本質は、「友と敵」の区別に基づくと主張しました。
シュミットによれば、「政治的なもの」は、集団的なアイデンティティと生存に関わる極限的な対立状況において現れます。この対立状況において、人々は自分たちと「同じ」（友）と見なす集団と、自分たちと「異なる」（敵）と見なす集団に分けられます。この区別は、道徳的な善悪や経済的な利害とは独立した、独自の論理に基づいています。
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政治的存在としての国家
シュミットは、この「友と敵」の区別を行う主体として「国家」を位置づけます。国家は、自らの存在と安全を脅かす敵に対して、国民を動員し、場合によっては武力行使によって対抗する権限を持つ唯一の存在です。 シュミットは、国家の主権を「例外状態」における決定権として捉えます。「例外状態」とは、通常の法秩序が機能不全に陥り、国家の存続が脅かされる非常事態を指します。
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批判と論争
シュミットの「政治的なものの概念」は、その鋭い洞察力から今日まで多くの議論を呼び起こしてきました。彼の理論は、政治における権力と暴力の役割を強調しており、現実主義的な政治観を提供するものとして評価されています。一方で、その排他的な「友と敵」の論理は、ナチス政権によるユダヤ人迫害を正当化する根拠として利用されたという批判もあります。
シュミットの理論は、その複雑さと多義性ゆえに、様々な解釈を生み出し続けています。彼の思想は、現代政治における国家、主権、暴力、そして政治的なものの本質について考察する上で、重要な視点を提供していると言えるでしょう。