シュミットの憲法理論の感性
政治的なものの概念と憲法
カール・シュミットは、20世紀のドイツの法学者であり、政治思想家です。彼の憲法理論は、ワイマール共和国期の政治的混乱と不安定さを背景に展開されました。シュミットの思想は、法実証主義や自由主義的な憲法観に対する批判として理解することができます。彼は、政治的な現実を直視し、規範的な理想論ではなく、現実的な力関係に基づいた憲法理論を構築しようとしました。
主権と例外状態
シュミットの憲法理論の中心的な概念は、「主権」と「例外状態」です。彼は、主権を「例外状態を決定する者」と定義しました。つまり、主権とは、法的秩序の外に立ち、緊急事態において、通常の法秩序を停止し、新たな秩序を創造する権限を持つ存在です。この例外状態は、自然災害や戦争、革命など、国家の存続が脅かされるような非常事態を指します。
憲法制定権力と憲法
シュミットは、憲法と憲法制定権力を明確に区別しました。彼は、憲法制定権力は、既存の法的秩序の外に立ち、新たな憲法秩序を創設する原初的な権力であると考えました。一方、憲法は、憲法制定権力によって制定された具体的な法的規範の体系です。シュミットは、憲法制定権力は、国民の政治的な意思決定に基づくべきであると主張しました。
ワイマール憲法批判
シュミットは、ワイマール憲法を、政治的な現実を無視した、抽象的で理想主義的な憲法であると批判しました。彼は、ワイマール憲法が、議会制民主主義の制度を過度に重視し、政治的な指導力と決断力を欠いた結果、政治的な混乱と不安定さを招いたと主張しました。