## シュミットの憲法理論のメカニズム
シュミット憲法論における「憲法」の位置づけ
シュミットは、憲法を法規範の総体として捉えるのではなく、政治的な意志決定の産物として理解しました。 彼によれば、憲法は、国家の存在様式、すなわち「政治的なものの形式」を決定する根本的な決断です。 これは、具体的な条文よりも、国家のアイデンティティや主権のあり方を規定する、より根源的なレベルにおける決断を意味します。
憲法制定権力と立憲主義の批判
シュミットは、憲法制定権力を、既存のいかなる法秩序にも拘束されない、主権的な政治的意志と定義しました。 彼は、この憲法制定権力こそが、国家の基盤となる真の主権者であると主張し、立憲主義が前提とする、法によって制限された権力概念を批判しました。
ワイマール憲法の批判と「総統保護規定」
シュミットは、ワイマール憲法のような、議院内閣制と比例代表制を採用した議会中心主義的な憲法を、政治的な決定を曖昧にするものとして批判しました。 彼は、非常事態においては、議会による意思決定が困難になることから、ワイマール憲法第48条(いわゆる「総統保護規定」)のような、大統領による非常大権の発動を正当化する根拠を見出しました。
例外状態と主権者
シュミットは、「例外状態」という概念を用いて、法秩序が機能不全に陥った場合、主権者が、法に拘束されることなく、政治的な決断を下すことができると主張しました。 彼にとって、主権者とは、この例外状態を判定し、対処できる唯一の存在です。
「友と敵」の区別
シュミットは、政治の本質を、「友と敵」の区別に求めました。 彼によれば、政治的な共同体は、共通の敵に対する防衛という必要性から生じ、政治的な決断は、最終的には、この敵との対決という観点からなされます。 憲法もまた、この「友と敵」の区別を前提とした政治的な意志決定の産物として理解されます。
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