シュペングラーの西洋の没落の発想
文化の有機体説
シュペングラーは、歴史を単線的な進歩として捉える従来の見方を否定し、独自の「文化形態学」を提唱しました。彼は、世界史における個々の文化は、誕生、成長、衰退、死という生物と同じようなライフサイクルを持つ有機体であると考えました。
文化の運命
シュペングラーによれば、文化はそれぞれ固有の「魂」を持ち、その魂によって運命づけられた道を歩みます。文化は、誕生から成長期を経て、やがて成熟し、最終的には衰退と死を迎えます。これは、避けられない自然の法則であるとされました。
西洋文化の没落
シュペングラーは、自身が生きていた20世紀初頭の西洋文明を、すでに衰退期に突入していると診断しました。彼は、古代ギリシャ・ローマやルネサンスなどの過去の偉大な文化がたどった歴史的軌跡を分析し、西洋文化もまた同じ運命をたどると予測しました。
文明の硬直化
シュペングラーは、西洋文化が衰退期に入った兆候として、文化の硬直化を挙げました。創造的な活力に溢れていた文化が、物質主義、合理主義、都市化などの影響によって、精神的な活力を失い、形骸化していく様子を指摘しました。
没落の必然性
シュペングラーは、西洋文化の没落は、歴史の必然であると考えました。彼は、文化の衰退を悲観的に捉えるのではなく、歴史のサイクルの一環として、ある種の達観を持って受け入れていました。
これらの要素が、シュペングラーの「西洋の没落」という発想の根幹を成しています。