## シュペングラーの西洋の没落の力
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文明の形態学的解釈
シュペングラーは、歴史を単線的な進歩としてではなく、それぞれ独自の誕生、成長、衰退の周期を持つ、独立した「文化」の興亡として解釈しました。彼は、エジプト、ギリシャ、ローマ、西洋など、歴史上の主要な文化を、それぞれが独自の「魂」を持つ、独立した有機体として捉えました。
彼の分析の中心となるのは、「文化」が「文明」へと移行するという概念です。文化は、創造性、芸術、哲学が花開く、活気に満ちた有機的な段階です。一方、「文明」は、物質主義、技術主義、帝国主義が支配的な、文化の最後の硬直化した段階です。シュペングラーは、西洋文明はすでにこの「文明」の段階に達しており、避けられない衰退に向かっていると主張しました。
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歴史の周期性と運命観
シュペングラーは、各文化には約1000年の寿命があり、その後、避けられない衰退期に入ると主張しました。彼は、この周期を、人間の生老病死に類似したものと見なしました。
彼の歴史観は、歴史法則によって決定されており、人間の自由意志や努力では変えることのできない、ある種の「運命」によって支配されているという点で、決定論的であると解釈できます。
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西洋文明への批判
シュペングラーは、西洋文明を、物質主義、技術主義、大衆社会の台頭によって特徴付けられる、衰退しつつある文明として描きました。彼は、西洋文明が、金銭崇拝、大衆文化、政治の腐敗といった問題に直面しており、これらの問題は、やがて西洋文明の崩壊につながると主張しました。
彼の分析は、第一次世界大戦後の西洋社会に広がっていた、幻滅感や不安感を反映したものであり、多くの人々に衝撃を与えました。