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シュペングラーの西洋の没落の位置づけ

## シュペングラーの西洋の没落の位置づけ

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出版と反響

* 「西洋の没落」(Der Untergang des Abendlandes)は、第一次世界大戦中の1918年に第1巻が、1922年に第2巻が出版されました。
* 出版後、本書は大きな反響を呼び、ベストセラーとなりました。これは、当時の厭戦気分や終末論的な雰囲気、そして西洋文明の将来に対する不安などが背景にあったと考えられています。
* 特に、ドイツでは敗戦後の混乱と将来への不安から、シュペングラーの主張は広く受け入れられました。

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学問分野における位置づけ

* シュペングラーは本書において、歴史を独自の周期説で捉え、西洋文明を含むあらゆる文明は、誕生、発展、衰退、滅亡という過程を辿ると主張しました。
* このような文明史観は、従来の歴史観、特にヨーロッパ中心的な線形史観に対する批判として捉えられました。
* シュペングラーは、歴史を分析する上で、文化 morphology という独自の概念を用い、各文明をそれぞれ独立した有機体として捉えました。
* 彼の学問的背景は、数学、哲学、歴史と多岐にわたり、ニーチェやゲーテなどの影響を受けているとされています。
* 本書は歴史学、哲学、社会学、文化人類学など、様々な分野に影響を与えましたが、その学問的な評価は賛否両論です。

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批判と影響

* シュペングラーの主張は、その決定論的な歴史観や、西洋文明の衰退を不可避とする悲観的な見方から、多くの批判を受けました。
* 特に、ナチスによる本書の利用は、シュペングラーの思想に対する批判を強める一因となりました。
* しかし、シュペングラー自身はナチスを支持しておらず、ナチスによる彼の思想の利用を批判していたという指摘もあります。
* 本書は、その後の文明論や歴史哲学に大きな影響を与え、トインビーの「歴史の研究」や、現代の文明論にも通じる問題提起を含んでいます。

シュペングラーの「西洋の没落」は、出版から100年以上経った現在でも、その壮大な歴史観と挑発的な主張によって、議論を呼び起こす作品です。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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