## シュペングラーの西洋の没落のテクスト
西洋文化の形態学
シュペングラーの主著『西洋の没落』は、1918年に初版が出版されました。 この著作でシュペングラーは、歴史を単線的な進歩として捉える従来の見方を批判し、独自の文明史観を展開しています。 彼によれば、歴史は循環的なものであり、世界史はそれぞれ独自の文化を持つ複数の文明が、誕生、発展、衰退、滅亡を繰り返す過程であるとされます。
文化と文明
シュペングラーは、「文化」と「文明」を明確に区別しています。「文化」は、ある民族が創造性を発揮し、独自の精神に基づいて芸術、宗教、政治などを発展させる有機的な段階です。 一方、「文明」は、「文化」が成熟し、創造性を失い、物質主義や合理主義が支配するようになる無機的な段階を指します。 シュペングラーは、全ての文化は、誕生から約1000年後に「文明」へと移行し、その後、不可避的に衰退と滅亡に向かうと主張しました。
西洋文化の運命
シュペングラーは、古代ギリシャやローマなど、過去の偉大な文明と同様に、西洋文明もまた衰退と滅亡に向かっていると主張しました。 彼によれば、西洋文明はすでに「文明」の段階に達しており、物質主義、技術主義、大衆社会の台頭など、衰退の兆候を示していると指摘しました。
西洋文化における「ファウスト的」精神
シュペングラーは、西洋文化を特徴づける精神として、「ファウスト的」という言葉を用いています。これは、ゲーテの戯曲『ファウスト』の主人公に象徴される、無限への渇望、知識欲、権力への意志などを表しています。 この「ファウスト的」精神は、西洋文明の原動力となり、科学技術の進歩や世界への進出などを促しましたが、同時に、際限のない欲望や自己破壊的な傾向も内包しているとシュペングラーは指摘しました。