Skip to content Skip to footer

シジウィックの「倫理学の方法」の思想的背景

## シジウィックの「倫理学の方法」の思想的背景

###

イギリス経験主義の影響

シジウィックは、イギリス経験主義、特にジョン・スチュアート・ミルの功利主義から大きな影響を受けています。経験主義は、知識の源泉は経験であると主張し、先験的な道徳法則の存在を否定します。シジウィックもまた、倫理的な知識は経験的な探求によってのみ得られると考えていました。

彼は、人間の道徳的判断は快楽と苦痛、承認と非難といった経験的な事実に基づいていると論じました。 また、ミルの功利主義の考え方を継承し、「最大多数の最大幸福」という原則を倫理の基本原則として重視しました。

###

直観主義との対話

シジウィックは、経験主義と並んで、当時のイギリス倫理学において重要な位置を占めていた直観主義とも深く関わっていました。直観主義は、道徳的真理は理性によって直接的に把握できると主張します。

シジウィックは、直観主義の主張するような自己 evident な道徳法則を完全に否定するわけではありませんでしたが、直観主義が提示する様々な道徳原則が互いに矛盾しうることを指摘し、経験的な検証なしに倫理体系を構築することの難しさを論じました。

###

方法論における厳密さの追求

シジウィックは、倫理学が他の学問分野と同様に厳密な方法論に基づく必要があると主張しました。彼は、当時の倫理学が曖昧な概念や感情的な議論に頼りすぎていると考え、より明確で分析的なアプローチの必要性を訴えました。

彼の著書「倫理学の方法」は、そのタイトルが示すように、倫理学における厳密な方法論の確立を目指したものでした。彼は、倫理的な議論において、論理的一貫性、明確な定義、経験的な証拠に基づいた推論が不可欠であると強調しました。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5