## シェイクスピアの終わりよければすべてよしの選択
ヘレナによるバートラムへの執着
劇の冒頭、ヘレナは身分の低い医師の娘でありながら、身分の高い伯爵の息子バートラムに恋をしています。彼女は自分の気持ちを隠すことなく、彼への愛を公言しています。しかし、バートラムは身分の違いを理由に、ヘレナを拒絶します。
ヘレナのバートラムへの強い想いは、劇全体を通して様々な行動に現れます。フランス国王の病気を治すという条件と引き換えに、バートラムとの結婚を王に認めさせます。これは、バートラムの意思を無視した一方的な行動と言えるでしょう。その後、バートラムが結婚を承諾せず、フィレンツェへと逃亡した後も、ヘレナは彼を追いかけます。
フィレンツェでは、バートラムを振り向かせるために、ダイアナとその母親と共謀し、ある計画を実行します。それは、バートラムがダイアナに求婚する手紙を送らせ、密会した際に、暗闇に乗じてバートラムと関係を持つというものでした。この計画によって、ヘレナはバートラムの子供を身ごもります。
バートラムの結婚に対する抵抗
バートラムは、ヘレナを結婚相手として認めていません。それは、ヘレナが身分の低い生まれであること、そして自分には恋愛対象として見ていないことが理由として挙げられます。国王から結婚を命じられた際も、バートラムは「生まれと身分が釣り合わない」と露骨に嫌悪感を示します。
フランス国王の病気をヘレナが治した後も、バートラムはヘレナとの結婚を拒否し、フィレンツェへと逃亡します。フィレンツェでは、バートラムは貴族の娘であるダイアナに言い寄り、ヘレナへの愛を誓う指輪を渡す代わりに、肉体関係を持つことを要求します。
最終的に、バートラムは国王によってヘレナとの結婚を強制されます。しかし、劇の最後においても、バートラムが心からヘレナを受け入れたかどうかは明確に描かれていません。
王権による結婚の強制
フランス国王は、ヘレナが自分の病気を治した恩に報いるため、そして彼女の功績を称えるため、ヘレナとバートラムの結婚を命じます。これは、当時の社会において、国王が絶対的な権力を持つ存在であったことを示しています。
バートラムは国王の命令に逆らうことができず、最終的にヘレナとの結婚を受け入れます。しかし、この結婚はバートラムの意思に基づいたものではなく、国王の権力によって強制されたものである点は注目すべきです。