シェイクスピアの二人のいとこの貴公子の感性
感性の表現：登場人物の葛藤を通して
「二人のいとこの貴公子」は、喜劇とも悲劇とも言い切れない複雑な感性を孕んだ作品です。その感性は、登場人物たちの内面における葛藤を通して鮮やかに描き出されます。
愛と欲望の相克：パラモスの苦悩
主人公パラモスの愛と欲望の間で揺れ動く姿は、人間の心の奥底にある葛藤を浮き彫りにします。彼は従妹のジュリアに純粋な愛を抱きながらも、花嫁候補であるフラビーナの魅力に抗えず、苦悩します。このパラモスの姿は、理性と本能の狭間で揺れる人間の姿を象徴的に表しています。
女性の主体性：ジュリアの決意
一方、ジュリアは伝統的な女性像に収まらず、自らの意思で運命を切り開こうとする強い女性として描かれています。パラモスへの一途な想いを胸に秘めながらも、彼の心変わりを知ると、男装して彼を追いかけるという大胆な行動に出ます。彼女の行動は、当時の社会規範に縛られない、女性の主体性を強く印象づけます。
言葉の表現：喜劇と悲劇の融合
「二人のいとこの貴公子」では、登場人物たちの心情が詩的な表現や機知に富んだ言葉によって表現されています。喜劇的な場面と悲劇的な場面が交互に展開されることで、作品全体に独特の緊張感が生まれています。この巧みな構成と洗練された言葉遣いは、シェイクスピアの劇作術の成熟を物語っています。