## シェイクスピアのリチャード三世の選択
リチャードの選択:権力への渇望
リチャード三世は、生まれつき身体に障害を持つヨーク家の王子として、自身の境遇に強い劣等感を抱き、権力への渇望に取り憑かれています。彼の選択は、この野心を叶えるために、冷酷かつ狡猾に計算されたものばかりです。
劇の冒頭から、リチャードは自らの野心を明確に語ります。
> “Now is the winter of our discontent
>
> Made glorious summer by this son of York;
>
> And all the clouds that lour’d upon our house
>
> In the deep bosom of the ocean buried.”
(「今こそ我が不満の冬は過ぎ去り、ヨークの息子によって輝かしい夏となる。そして我が家に覆いかぶさっていた雲はすべて、大海の底に葬り去られた。」)
彼は、兄エドワードが王位についたことで、自身の不幸な境遇から抜け出し、権力を手に入れる機会が訪れたと確信します。
リチャードの選択:策略と欺瞞
権力への道を切り開くために、リチャードは手段を選ばない策略と欺瞞を駆使します。彼は、巧みな言葉と偽りの魅力で周囲の人々を操り、自らの野望を達成するための道具として利用します。
* **アンの誘惑**: リチャードは、夫と義父を殺した張本人でありながら、巧みな言葉でアンを誘惑し、結婚にこぎつけます。これは、彼の冷酷さと策略性を如実に示す選択です。
* **ヘイスティングズの処刑**: リチャードは、自らの野望の障害となるヘイスティングズを、偽りの反逆罪をでっち上げて処刑します。
* **王子たちの殺害**: 王位継承を確実にするため、リチャードは、自身の甥である幼い王子たちを殺害するように命じます。
リチャードの選択:孤独と破滅
リチャードの選択は、彼に権力をもたらしますが、同時に孤独と破滅へと導きます。彼の冷酷さと欺瞞は、周囲の人々の信頼と愛情を完全に失わせます。
劇の終盤、リチャードは、自分の罪の意識に苛まれ、悪夢にうなされます。彼は、愛や友情といった人間的なつながりをすべて捨て去った結果、孤独な末路を迎えます。
リチャード三世の選択は、権力への飽くなき渇望が人間をいかに堕落させるか、そして、その果てに何が待ち受けているかを鮮やかに描き出しています。