## シェイクスピアのリチャード三世の技法
プロローグにおける直接的な語りかけ
リチャード三世は、有名なプロローグで観客に直接語りかけることで幕を開けます。これは、彼の策略家としての性格を確立し、観客を彼の陰謀に引き込むための巧妙な方法です。この直接的な語りかけは、観客を共犯者に仕立て上げ、劇全体を通してリチャードの視点に感情移入させやすくする効果も持っています。
夢と予言の活用
劇中では、リチャードの敵に降りかかる不幸を予兆する夢や予言が繰り返し登場します。これらの超自然的な要素は、劇にサスペンスと不安の雰囲気を加え、リチャードの周りの登場人物たちに恐怖感を与えます。夢はまた、リチャード自身の不安定な精神状態と、自分の行動によって引き起こされる可能性のある結果に対する罪悪感を反映しています。
対照的な登場人物
シェイクスピアは、リチャードの悪を際立たせるために、対照的な登場人物を効果的に使用しています。たとえば、敬虔で高潔なエドワード四世は、リチャードの邪悪さと野心を強調する役割を担っています。同様に、リチャードの陰謀の犠牲者であるアン夫人やリバーズ卿は、リチャードの冷酷さと対比をなす、道徳と無実を体現しています。
言葉遊びと修辞法
シェイクスピアは、リチャードの機知に富んだ性格と策略家としての能力を表現するために、巧みな言葉遊びや修辞法を駆使しています。皮肉、しゃれ、比喩などの修辞技法は、リチャードの知性を際立たせると同時に、彼の言葉の裏にある欺瞞的な本性を暗示しています。
変化に富んだ韻律
劇全体を通して、シェイクスピアは登場人物の感情や状況の変化に合わせて、空白詩と韻文を巧みに使い分けています。たとえば、重要な場面やリチャードの策略が成功する場面では、力強い効果を生み出すために韻文が使用されることがあります。一方、より内省的な場面や登場人物の苦悩が描かれる場面では、空白詩が用いられることが多く、自然でリアルな会話の雰囲気を作り出しています。