## シェイクスピアのリチャード三世の位置づけ
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歴史劇としての位置づけ
「リチャード三世」は、シェイクスピアが歴史上の人物を題材に描いた史劇群の一つに数えられます。イングランドの歴史を題材とした史劇は、シェイクスピアの創作活動の中でも初期に書かれた作品群に多く、特に「ヘンリー六世」三部作と「リチャード三世」は連続した歴史上の出来事を描いているため、合わせて四部作とみなされることもあります。
これらの作品は、テューダー朝以前のイングランド史、特にランカスター家とヨーク家の争いを描いた薔薇戦争を題材としています。 「リチャード三世」は、ヨーク家のリチャード三世が王位に就くまで、そしてボズワースの戦いで敗死するまでを描いています。
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作品におけるリチャード三世の描かれ方
リチャード三世は、作品中で生まれつき邪悪で、自身の野望のためにあらゆる悪事を躊躇なく行う悪役として描かれています。彼は自身の肉体的欠陥(せむしなど)をコンプレックスとし、周囲の人間を欺き、操り、殺害することさえ厭いません。
彼の悪辣なキャラクターは、劇中の有名な台詞「馬を持参せよ!馬を!我が王国を馬と交換だ!」(A horse, a horse, my kingdom for a horse!) にもよく表れています。
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史実との関係
シェイクスピアの「リチャード三世」は歴史的事実を基にしていますが、劇的な効果を高めるために多くの脚色が加えられています。特にリチャード三世の悪辣さは誇張されており、歴史学においては彼の治世や人物像についてより中立的な見方も存在します。
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文学史における位置づけ
「リチャード三世」は、その劇的な構成力、魅力的な悪役リチャード三世の存在感、そして力強い言葉によって、シェイクスピア初期の傑作の一つとされています。特にリチャード三世のキャラクターは、その後の文学、演劇、映画などに大きな影響を与え、多くの作品で引用、あるいは模倣されています。
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