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シェイクスピアのジョン王の話法

## シェイクスピアのジョン王の話法

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登場人物の語り口

ジョン王における登場人物たちの言葉は、それぞれの人物の性格や置かれている立場を強く反映しています。

* **ジョン王**: 王としての威厳を示そうとする一方で、猜疑心が強く、内面の弱さも見せる。そのため、高圧的で尊大な口調と、不安や焦りを露わにする弱々しい口調を使い分ける。
* **フィリップ・ザ・バスタード**: 頭脳明晰で皮肉屋。機知に富んだ言葉で周囲を翻弄する。言葉遊びや比喩を巧みに使い、 観客に語りかけ、物語を客観的に眺める視点を提供する役割も担う。
* **コンスタンス**: 悲劇の母親として描かれ、息子のアーサーに対する愛情ゆえに、激情に駆られることが多い。彼女の言葉は、悲嘆や怒り、狂気さえも感じさせる。

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修辞技法の多用

シェイクスピアは、ジョン王において様々な修辞技法を用いることで、登場人物の感情や劇的な状況を効果的に表現しています。

* **隠喩**: 抽象的な概念を具体的なイメージに置き換えることで、観客の理解を深める。
* **直喩**: “like” や “as” を用いて、二つのものを比較することで、対象をより鮮明に描き出す。
* **擬人化**: 無生物に人間の性質を与えることで、詩的な表現を生み出す。
* **反復法**: 同一または類似の語句を繰り返すことで、登場人物の感情の高ぶりや重要なテーマを強調する。
* **対照法**: 対照的な概念やイメージを並置することで、主題を際立たせる。

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韻律とリズム

ジョン王では、空白詩(無韻詩)を基調としながらも、韻律とリズムを巧みに操ることで、劇的な効果を高めています。

* **弱強五歩格**: シェイクスピアの戯曲で多く用いられる韻律。自然な会話のリズムに近く、登場人物の感情を表現しやすい。
* **韻文**: 行末で韻を踏むことで、言葉に音楽的な響きを与え、印象的な場面を強調する効果がある。
* **散文**: 韻律にとらわれない自由な形式。主に身分の低い人物の会話やコミカルな場面で用いられる。

これらの要素が組み合わさることで、ジョン王は登場人物の心理描写や舞台効果において、より深みのある作品となっています。

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