## シェイクスピアのジュリアス・シーザーの主役
「ジュリアス・シーザー」の主役は誰かという問いは、一見すると単純明快に思えるかもしれません。
劇のタイトルにもなっている人物であり、初期の重要な場面で多く登場するのも事実です。しかし、シーザーは3幕の比較的早い段階で暗殺されてしまい、その後の劇の展開に直接的に関与することはありません。このことから、劇の真の主役は誰なのか、より複雑な議論が生まれます。
シーザー亡き後、劇の中心となるのはブルータスとアントニーです。
共和制の理想を強く信じるブルータスは、シーザーの増大する権力と、それがローマ共和国にもたらすであろう専制政治を恐れて、暗殺計画に加わります。一方、アントニーはシーザーの忠実な友人であり、その死を深く悲しみます。彼は巧みな弁舌を用いて民衆の心を掴み、ブルータスら陰謀者たちへの復讐を誓います。
ブルータスとアントニー、それぞれの行動と対立は、劇の後半の展開を大きく左右します。
ブルータスは高潔な人物として描かれ、彼の行動はローマへの愛と共和制への強い信念に基づいています。しかし、彼は政治的な駆け引きには長けておらず、アントニーの策略にはまってしまいます。アントニーは雄弁でカリスマ性のある人物ですが、彼の行動は個人的な野心と復讐心によって突き動かされています。
劇の結末は、明確な勝者を示すものではありません。
アントニーはフィリッピの戦いでブルータスらを破り、ローマの支配権を握りますが、彼の勝利はシーザーの死によって大きく傷ついた共和制の終焉を意味するものでもあります。
結論として、「ジュリアス・シーザー」の真の主役は、一概に断定することはできません。
シーザーは劇の冒頭部分で重要な役割を果たしますが、彼の死がその後の物語を大きく動かします。ブルータスとアントニーの対立が劇の中心的なテーマとなり、彼らの行動は劇の結末に大きな影響を与えます。最終的に、観客は劇全体を通してそれぞれの登場人物の行動や動機を考察し、誰が真の主役であるかを自ら判断する必要があります。
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