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シェイクスピアのシンベリンと時間

## シェイクスピアのシンベリンと時間

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時間の経過の曖昧さ

「シンベリン」では、時間の流れが曖昧に描かれている点が特徴です。劇中の出来事が具体的にいつ起こったのか、どれだけの時間が経過したのかを特定する明確な情報はほとんど提示されません。

例えば、イアチモがローマからブリテンに帰還してからポステュマスと再会するまで、どれだけの月日が流れたのかは劇中にはっきりと示されていません。また、劇の終盤でシンベリンがローマ軍との戦いに勝利してから、イモージェンとポステュマスが再会するまでの時間も不明瞭です。

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時間の圧縮と伸張

「シンベリン」では、時間の流れが圧縮されたり、逆に伸張されたりする場面が見られます。

例えば、第3幕第3場から第5幕第5場までは、実際には数年が経過していると考えられますが、劇の中では非常に短い時間で表現されています。

一方で、イアチモとポステュマスの賭けや、イモージェンがローマから逃亡する場面などは、比較的短い時間に起こった出来事であるにもかかわらず、劇の中では詳細に描かれ、時間が長く感じられます。

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時間のテーマ

「シンベリン」では、時間そのものが重要なテーマとして浮上しています。

劇中の登場人物たちは、過去の出来事に囚われたり、未来への不安に苛まれたり、時間の流れに翻弄されながら生きています。

例えば、シンベリンは過去の出来事に対する復讐心に囚われ、ポステュマスはイモージェンの貞節を疑って苦悩します。また、イモージェンは自分の身分や未来に不安を抱えながら行動します。

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時間と変化

「シンベリン」では、時間の経過とともに登場人物たちの心理状態や関係性が変化していく様子が描かれています。

例えば、当初はイモージェンの貞節を疑っていたポステュマスは、劇の終盤では自分の誤解に気づき、彼女への愛を再確認します。また、シンベリンもローマとの戦いを経て、自分の頑固さを反省し、和解を受け入れます。

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時間と劇的効果

「シンベリン」における時間の曖昧な描写は、観客に様々な解釈を許し、劇の面白さを増幅させる効果を生み出しています。

例えば、時間の流れが不明瞭なことで、観客は劇中の出来事に対してより深く考えさせられ、登場人物たちの心理状態により強く感情移入することができます。また、時間の圧縮と伸張は、劇に緩急を生み出し、観客を飽きさせません。

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