シェイクスピアのコリオレイナスの対称性
登場人物の対称性
コリオレイナスとアウフィディウスの対比構造が挙げられます。両者とも優れた戦士として描かれていますが、ローマへの忠誠心という点において対照的です。コリオレイナスはローマへの愛憎の間で揺れ動き、最終的にはローマを裏切ることになりますが、アウフィディウスは一貫してローマの敵であり続けます。
また、ヴォルサイの人々とローマの民衆も対照的な存在として描かれています。ヴォルサイの人々は勇敢で誇り高い人々として描かれているのに対し、ローマの民衆は気まぐれで操られやすい存在として描かれています。
場面の対称性
物語の冒頭と結末において、コリオレイナスはローマの門の前に立っています。冒頭ではローマの英雄として迎えられますが、結末ではローマの敵として殺害されます。このように、同じ場所が全く異なる意味を持って登場することで、コリオレイナスの運命の皮肉さが強調されています。
テーマの対称性
プライドと謙遜、名誉と裏切り、愛と憎しみなど、対照的なテーマが作品全体を通して描かれています。コリオレイナスは自身のプライドゆえに民衆に屈することができず、それが彼の破滅へと繋がります。一方、彼の母ヴォラムニアは、ローマへの愛のために息子を説得しようとします。