シェイエスの第三身分とは何かの対極
保守主義のバイブル:エドマンド・バークの「フランス革命の省察」
1789年にフランス革命が勃発すると、ヨーロッパ中に衝撃が走りました。革命の理念である自由、平等、友愛は、旧体制に対する挑戦であり、多くの知識人や政治家に影響を与えました。しかし、その中には、革命の熱狂と暴力に恐怖と嫌悪感を抱く者もいました。アイルランド出身のイギリスの政治家・思想家であったエドマンド・バークもその一人でした。
バークは、1790年に発表した「フランス革命の省察」の中で、フランス革命を厳しく批判しました。彼は、革命が伝統と秩序を破壊し、無秩序と暴政をもたらすと主張しました。バークは、人間の理性に対する過信が革命の根本的な原因であると考え、抽象的な理念に基づいて社会を急激に変革しようとする試みに警鐘を鳴らしました。
バークの思想は、伝統、経験、漸進的な改革を重視する保守主義の基礎となりました。「フランス革命の省察」は、保守主義のバイブルとして、現代に至るまで多くの政治家や思想家に影響を与え続けています。
シェイエスの「第三身分とは何か」が、国民主権を主張し、旧体制の打破を目指したのに対し、バークの「フランス革命の省察」は、伝統と秩序の重要性を説き、革命の危険性を警告しました。この二つの著作は、フランス革命という歴史的な転換点において、正反対の立場から書かれた、まさに「対極」に位置すると言えるでしょう。