サッカレーのヘンリー・エズモンドの位置づけ
サッカレーの代表作としての位置づけ
『ヘンリー・エズモンド』(1852年)は、ウィリアム・メイクピース・サッカレーの代表作と広く見なされています。 サッカレー自身も本書を自身の最高傑作と考えていたと言われています。 本作は、それまでのサッカレーの作品に見られた風刺的な筆致を抑え、歴史小説としての完成度を高めた作品として評価されています。
18世紀イギリス文学への貢献
『ヘンリー・エズモンド』は、18世紀初頭のイギリスを舞台にした歴史小説であり、当時の社会、文化、政治を生き生きと描いています。 特に、アン女王時代(1702-1714)の雰囲気を忠実に再現することに成功しており、18世紀イギリス文学への貢献は大きいと言えるでしょう。
文体と語り口
本作は、主人公ヘンリー・エズモンド自身の視点から語られる一人称小説であり、18世紀風の古風な文語で書かれています。 この独特な文体は、当時の雰囲気をよりリアルに伝えることに貢献しています。 また、サッカレーは本作において、全知全能の語り手を排し、あくまで主人公の視点から物語を語るという手法を採用しています。 これにより、読者は主人公の心情により深く共感することができます。
歴史上の出来事と登場人物
本作には、マールバラ公爵やスウィフトなど、実在の歴史上の人物が多数登場します。 また、スペイン継承戦争や1708年のスコットランド反乱など、当時の歴史的事件も描かれています。 しかし、サッカレーは史実を忠実に再現することよりも、あくまでも物語としての面白さを優先させており、フィクションとしての脚色も加えられています。
恋愛小説としての側面
『ヘンリー・エズモンド』は、歴史小説であると同時に、恋愛小説としての側面も持ち合わせています。 主人公エズモンドと、いとこのベアトリクス、そしてその母親であるキャッスルウッド夫人との三角関係は、物語の大きな軸となっています。 身分違いの恋、叶わぬ恋など、当時の社会における恋愛の複雑さを描いています。
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