サガンの別れの朝を読んだ後に読むべき本
フランソワーズ・サガンをもっと深く知るために:「悲しみよこんにちは」
「別れの朝」でサガンの描く、退廃的で刹那的な恋愛模様に心を奪われたなら、彼女の処女作にして代表作である「悲しみよこんにちは」を手に取らないわけにはいきません。17歳という若さで書き上げたとは思えないほど洗練された筆致で、思春期の少女セシルが経験する、愛と喪失、そして成長が描かれています。
南フランスの避暑地を舞台に、奔放な生活を送る父と、その愛人を迎えることになるセシル。夏の光と影が織りなす美しい風景描写の中、セシルは父の愛人アンヌに反発しながらも、奇妙な連帯感を抱くようになります。しかし、そこに父の婚約者エリザベートが現れたことで、彼らの関係は大きく変化していくことになります。
「別れの朝」と同様に、「悲しみよこんにちは」でも、サガン特有の乾いた感性と、鋭い観察眼が光ります。登場人物たちの繊細な心理描写、そして予想を裏切るラストシーンは、きっとあなたの心に深く刻まれることでしょう。「別れの朝」で芽生えたサガンへの興味を、さらに深めてくれる一冊です。