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コンラッドの闇の奥の原点

コンラッドの闇の奥の原点

コンラッド自身の経験

コンラッド自身のコンゴ自由国における経験は、「闇の奥」の最も重要な原点です。1890年、コンラッドは当時ベルギー領だったコンゴ自由国を訪れ、コンゴ川で蒸気船の船長として働きました。この時の経験は、彼に深い衝撃と恐怖感を与え、後の作品に大きな影響を与えました。

コンラッドは、コンゴでヨーロッパ人による植民地支配の残虐性と搾取を目の当たりにしました。象牙の採取のために先住民が強制労働に従事させられ、非人道的な扱いを受けているのを目撃しました。また、病気や飢餓も蔓延しており、コンラッド自身も病気にかかりました。

これらの経験は、コンラッドの心に深い傷跡を残し、「闇の奥」の舞台となるコンゴ川の描写や、登場人物たちの狂気や残虐性の描写に反映されています。特に、小説の主人公であるマーロウがコンゴ川を遡っていくにつれて、徐々に人間性を失っていく様子は、コンラッド自身の経験を色濃く反映していると言えます。

19世紀後半の帝国主義

「闇の奥」は、19世紀後半のヨーロッパにおける帝国主義の隆盛を背景に書かれました。当時、ヨーロッパ列強はこぞってアフリカやアジアに進出し、植民地支配を広げていました。このような時代背景は、コンラッドの作品に大きな影響を与えています。

「闇の奥」では、ヨーロッパ人が未開の地であるアフリカに足を踏み入れることで、人間の奥底に潜む闇が露わになっていく様子が描かれています。これは、帝国主義がもたらす暴力や残虐性を、鋭く批判した作品であると言えるでしょう。

コンラッドは、「闇の奥」の中で、帝国主義を「白人の大きな重荷」と表現しています。これは、白人が未開の地を文明化するという名目で、実際には搾取や暴力を行っているという矛盾を指摘した言葉です。

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