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コンラッドのノストロモのテクスト

コンラッドのノストロモのテクスト

テクストの概要

『ノストロモ』は、ポーランド出身のイギリス人作家ジョゼフ・コンラッドが1904年に発表した長編小説です。物語の舞台は、西欧諸国の支配下にある架空の南米の国、コスタグアヤです。この国の主要な港町、スーラコを舞台に、銀山会社で働くチャールズ・グールドやその妻エミリア、会社の支配人であるノストロモ、革命家マルティン・デカップルなどの登場人物が織りなす物語が、複雑な時間軸と視点の移動を交えながら描かれています。

物語の構成

物語は大きく分けて三つの部分で構成されています。

第一部は、「銀の鉱山」という副題が付けられており、スーラコにおける銀山会社の繁栄と、それに群がる人々の欲望が描かれます。チャールズ・グールドとエミリアの結婚、ノストロモの登場、そして革命家による政変の兆候などが、この部分で提示されます。

第二部は、「海上の孤独」という副題が示す通り、銀を積んだ会社の蒸気船ノストロモ号が革命家から逃れるために海上に出るところから始まります。閉鎖された船上という特殊な環境の中で、乗組員たちの間には猜疑心や恐怖が渦巻き、やがて暴力が噴出していきます。

第三部は、「大地の孤独」と題され、再びスーラコを舞台に物語が展開します。革命後の混乱の中で、チャールズ・グールドは銀を守ることに執念を燃やし、ノストロモは革命家から逃亡者として追われる身となります。彼らの運命は、エミリアやマルティン・デカップルら他の登場人物たちの行動と複雑に絡み合い、物語は悲劇的な結末へと向かっていきます。

語り口と視点

『ノストロモ』の特徴の一つに、その複雑な語り口と視点の移動が挙げられます。物語は全知的な語り手によって語られるのではなく、登場人物たちの視点や回想を断片的に積み重ねることで、次第に全体像が浮かび上がってくるような構成になっています。

例えば、ある場面ではチャールズ・グールドの視点から物語が語られ、次の場面ではノストロモの視点に移り、さらに別の場面では街の人々の噂話や回想を通じて物語が進行していきます。このような語り口によって、読者は登場人物たちの内面世界に深く入り込み、彼らの行動の動機や心理的な葛藤を理解していくことができます。

テーマ

『ノストロモ』は、植民地主義、物質主義、理想と現実の対立、人間の道徳など、多岐にわたるテーマを扱っています。

特に、西欧列強による南米諸国の経済的搾取と、それに伴う社会的矛盾が、物語の背景として重要な役割を果たしています。銀山会社は、西欧資本主義の象徴として描かれ、その利益のために現地の労働者や資源が搾取されている様子が、生々しく描写されています。

また、登場人物たちの多くは、金銭欲、権力欲、愛憎など、様々な欲望に翻弄され、それぞれの「孤独」を抱えています。彼らの葛藤や苦悩を通じて、人間の心の闇や、理想と現実の狭間で生きる苦しさが浮き彫りにされます。

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