## コンラッドの『ロード・ジム』とアートとの関係
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語り口と印象主義
コンラッドは『ロード・ジム』において、全知的な語り手ではなく、マーシャル・ブラウンなど、ジムの行動を間接的に知る人物たちの視点を通して物語を語っています。 この語り口は、読者にジムの行動に対する客観的な判断を許さず、様々な解釈の余地を残すという点で、印象派の絵画と共通しています。
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象徴主義と暗示
作中には、ジムの心理状態や運命を暗示する象徴的なイメージが頻繁に登場します。 例えば、「パトナ号」はジムの逃れの場であると同時に、彼の罪意識の象徴でもあり、また、霧はジムの心の葛藤や将来への不安を表現しています。 これらの象徴は、直接的な説明を避け、読者の解釈に委ねるという点で、象徴主義の芸術と共通点を持っています。