## コンラッドの「ロード・ジム」の秘密
ジムの秘密
作品の中心となる謎は、主人公ジムが過去に犯した罪、そしてその罪が彼の現在に暗い影を落とす点にあります。物語冒頭で、ジムは蒸気船「パトナ号」の一等航海士として勤務しています。船には多くの巡礼者が乗っており、メッカへの航海中です。
パトナ号事件
航海中、「パトナ号」は嵐に遭遇し、沈没の危機に瀕します。この極限状態の中、ジムは船長や他の白人航海士たちと共に、乗客を見捨てて救命ボートで脱出してしまうのです。彼らの行動は臆病と非道の行為と見なされ、その後行われた審問でジムは航海士としての資格を剥奪されます。
秘密を抱える苦悩
ジムは自らの行動に深く傷つき、罪悪感に苛まれます。彼は過去の罪から逃れようと、名前を変え、人里離れた地へと身を隠します。しかし、過去の亡霊は彼を執拗に追いかけ続け、安らぎを許してはくれません。
真実の追求と隠蔽
物語は、ジムの過去を知る人物が現れることで大きく動き出します。彼らとの出会いをきっかけに、ジムは再び自らの罪と向き合わざるを得なくなります。ジムは真実を告白したいという思いと、過去の汚名を恐れて隠したいという相反する感情に苦しみます。