コンドルセの人間精神進歩史の関連著作
ジャン＝ジャック・ルソー『人間不平等起源論』
ルソーの『人間不平等起源論』(1755年)は、コンドルセの思想に大きな影響を与えた作品です。ルソーは、人間は本来自由で平等な自然状態に生きていたが、私有財産の出現によって不平等が生じ、社会契約によって国家が形成されたと論じました。
コンドルセはルソーの思想を継承し、人間社会は理性と啓蒙の進歩によって、より平等で幸福な状態へと向かうと主張しました。しかし、コンドルセはルソーが文明を否定的に捉えていたのに対し、文明の進歩を積極的に評価しました。
アダム・スミス『国富論』
アダム・スミスの『国富論』(1776年)は、経済学の古典として知られていますが、コンドルセの思想にも影響を与えました。スミスは、自由競争と分業によって経済が発展し、社会全体の幸福が増進すると論じました。
コンドルセはスミスの思想を支持し、経済の進歩が人間の精神進歩を促進すると考えました。コンドルセは、教育の普及や科学技術の発展が経済成長の原動力になると主張しました。
イマヌエル・カント『純粋理性批判』
イマヌエル・カントの『純粋理性批判』(1781年)は、人間の理性についての哲学書であり、コンドルセの思想にも大きな影響を与えました。カントは、人間の理性には限界があり、物事を認識するためには経験が必要であると論じました。
コンドルセはカントの思想を批判的に継承し、人間の理性には限界があることを認めながらも、理性による進歩の可能性を信じました。コンドルセは、経験と理性に基づいた科学的な方法によって、人間はより正確な知識を獲得し、社会を進歩させられると主張しました。