ケインズの雇用・利子・貨幣の一般理論の構成
序論
本書の目的は、経済学者が「古典派理論」と呼ぶものとは異なる理論体系を展開し、それによって生産と雇用の量を支配する諸力の運動を説明することにある、とケインズは述べています。
第1編 導入
第1編は、古典派理論の特別な場合としてケインズ経済学を位置づけることから始まります。ケインズは、完全雇用をもたらすような経済の自己調整機能を否定し、有効需要の原理に基づいた新しい分析の枠組みを提示します。
第2編 定義と概念
第2編では、ケインズ理論を理解する上で重要な概念が定義されます。特に重要なのは、消費性向、投資乗数、流動性選好などの概念です。これらの概念は、後の章で展開される理論の基礎となります。
第3編 有効需要の原理
第3編では、有効需要の原理が詳細に説明されます。ケインズは、総需要が国民所得の水準を決定すると主張し、消費と投資の決定要因を分析します。この部分は、ケインズ経済学の中核をなす部分であり、後のマクロ経済学に大きな影響を与えました。
第4編 誘導投資
第4編では、投資が利子率と資本の限界効率によって決定されると説明されます。ケインズは、投資決定における不確実性の役割を強調し、これが景気変動の主要な原因であると主張します。
第5編 貨幣賃金と価格
第5編では、貨幣賃金と物価水準の関係が分析されます。ケインズは、貨幣賃金の硬直性が雇用調整を阻害する可能性を指摘し、これが失業問題を深刻化させる要因になると主張します。
第6編 諸論
第6編では、それまでの分析を踏まえて、景気循環、重商主義、金本位制など、さまざまな経済問題が考察されます。ケインズは、自身の理論がこれらの問題を理解する上で有用な枠組みを提供すると主張します。
結論
ケインズは、本書で展開した理論が、経済政策、特に雇用政策に重要な示唆を与えるものであると結論づけています。彼は、政府が積極的な財政・金融政策を行うことによって、有効需要を管理し、完全雇用を達成することができると主張します。