グロチウスの自由海論の原点
1. 17世紀初頭の国際情勢
グロチウスが「自由海論」を執筆した17世紀初頭、ヨーロッパは大航海時代を迎えていました。ポルトガルによるインド航路の開拓を皮切りに、スペイン、オランダ、イギリスなどがこぞって海外進出を図り、富と領土を求めて熾烈な競争を繰り広げていました。
2. 東インド会社とポルトガルの独占
この時期、香辛料貿易で巨万の富を築いていたのが、ポルトガルが設立した東インド会社でした。ポルトガルは、ローマ教皇の勅書に基づき、アジアにおける貿易の独占権を主張し、他国の進出を厳しく排除していました。
3. オランダの台頭と自由航海の主張
一方、新興国オランダは、積極的に海外進出を進めていました。1602年に設立されたオランダ東インド会社は、ポルトガルの独占に挑戦し、アジア貿易への進出を図ります。オランダは、ポルトガルの独占的な海洋支配を打破するために、「自由航海」の概念を主張しました。