## グッドマンの世界制作の方法の感性
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グッドマンの記号論における感性の位置づけ
グッドマンは、著書『芸術の言語たち』の中で、芸術作品をひとつの記号体系として捉え、その構造と機能を分析しました。彼は、従来の美学が美的経験や美的判断といった主観的な側面に偏っていたことを批判し、作品そのものに内在する客観的な特性を明らかにしようと試みました。
グッドマンの記号論において、感性は、記号システムの「運用」と「解釈」に関わる人間の能力として位置づけられます。彼は、世界を認識し理解するプロセスにおいて、感覚器官を通じて得られた情報を、既存の知識や概念を用いて解釈し、意味を与えていると説明しました。
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世界制作における感性の役割
グッドマンは、人間が世界を「認識する」のではなく、「制作する」と主張しました。彼は、世界はあらかじめ与えられたものではなく、人間が様々な記号システムを用いて能動的に構築していくものであると考えました。そして、この世界制作のプロセスにおいて、感性が重要な役割を果たすとしました。
絵画、音楽、文学といった芸術作品も、グッドマンにとっては、世界制作の一形態です。芸術家は、それぞれの分野特有の記号システムを用いて、独自の様式で世界を構築します。そして、鑑賞者は、自身の感性と経験に基づいて作品を解釈し、作品世界を構築していきます。
グッドマンは、世界制作における感性の役割を、「知覚の鋭敏さ」や「美的感受性」といった従来の美学的な概念に還元することはしませんでした。彼にとって、感性とは、記号システムを運用し、解釈する人間の認知能力そのものを指しており、世界制作の根幹をなすものでした。