クーパーの緑の商人の対極
都市と自然の融合: ギルガメッシュ叙事詩
ジェイムズ・フェニモア・クーパーの小説「クーパーの緑の商人」は、自然と文明の対立、特にアメリカ開拓時代のフロンティアにおけるその対立を描いた作品として知られています。主人公のナッティ・バンポーは、自然の中で生きることを選び、文明社会との関わりを避けようとする人物として描かれています。
一方、「ギルガメッシュ叙事詩」は、紀元前2100年頃に書かれた世界最古の文学作品の一つとされ、都市の王ギルガメッシュと野生の男エンキドゥの友情と冒険を描いています。エンキドゥは当初、自然の中で動物たちと暮らしていましたが、ギルガメッシュとの出会いを経て都市へと足を踏み入れ、文明社会の一員となっていきます。
このように、「ギルガメッシュ叙事詩」は、「クーパーの緑の商人」とは対照的に、自然と文明の融合、そして人間と自然の共存の可能性を描いていると言えるでしょう。エンキドゥは、自然の中で培った力強さや野生的な感覚を活かしながら、都市の生活にも順応していく様子が描かれています。
人間の心の闇:マクベス
「クーパーの緑の商人」では、自然の脅威や対立が描かれる一方で、人間の心の闇や悪意については、直接的には深く掘り下げられていません。
しかし、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「マクベス」は、人間の心の奥底に潜む欲望、野心、罪悪感を鮮烈に描き出しています。主人公のマクベスは、魔女の予言をきっかけに、王座への野心を抱き、ついには王を殺害してしまいます。しかし、その罪はマクベスを精神的に追い詰め、破滅へと導いていくことになります。
「マクベス」は、「クーパーの緑の商人」とは対照的に、人間の心の闇に焦点を当て、善悪の境界線や罪の意識といった深淵なテーマを探求しています。