## クックのイギリス法提要の発想
エドワード・クック卿による体系化の試み
イギリス法の歴史において、エドワード・クック卿は17世紀初頭の代表的な法学者・判事として知られています。彼は、当時まで断片的にしか存在しなかったイギリス法の体系化を試み、その集大成として「イギリス法提要」(Institutes of the Laws of England)を著しました。
「イギリス法提要」の構成
クックの「イギリス法提要」は、4つの巻から構成されています。
* **第1巻**: 財産法、特に土地法の基本原則を解説
* **第2巻**: 当時の制定法を網羅
* **第3巻**: 刑事訴訟法と刑事訴訟手続きを詳述
* **第4巻**: 民事訴訟法と民事訴訟手続きを解説
「リトルトン所有権論」への注釈
特に「イギリス法提要」の第1巻は、中世イギリスの土地法に関する重要な法書である「リトルトン所有権論」に対するクックの詳細な注釈という形式をとっています。
判例に基づいた解説
クックは、「イギリス法提要」の中で、過去の判例を詳細に分析し、そこから法的原則を導き出すという手法を用いています。これは、当時のイギリス法が、ローマ法のような成文法典ではなく、判例法を基礎としていたためです。
一般市民への法知識の普及
クックは、「イギリス法提要」を執筆するにあたって、法律専門家だけでなく、一般市民にも理解できるような平易な言葉を用いるように努めました。これは、当時のイギリス社会において、法に対する意識が高まりつつあったこと、そして、市民が自ら法を理解し、権利を主張することが重要視され始めていたことを反映しています。
「イギリス法提要」の影響
クックの「イギリス法提要」は、その後、イギリス法学に多大な影響を与え、長年にわたって法律家の必読書として、また、法廷における重要な参照資料として用いられることになりました。