## ギールケのドイツ団体法の思索
ドイツ団体法におけるギールケの功績
オットー・フォン・ギールケは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したドイツの法学者であり、特にローマ法とドイツ民法の研究で多大な功績を残しました。彼は、その学識の深さと洞察力の鋭さから、「ローマ法学の法王」とまで称されました。
ギールケの業績の中でも特に重要なのは、ドイツ団体法の体系化に大きく貢献したことです。彼は、ローマ法における社団や財団の概念を詳細に分析し、それを基盤としてドイツ民法における団体法の理論を構築しました。彼の理論は、後のドイツ民法典の制定にも大きな影響を与え、現代ドイツ団体法の礎となっています。
ギールケの団体法理論の中心概念:法人擬制説
ギールケの団体法理論の中心となるのは、「法人擬制説」と呼ばれる考え方です。これは、社団や財団といった団体は、それ自体としては権利能力を持たないが、法律によって擬制的に権利主体として認められるという考え方です。
ギールケは、ローマ法における社団や財団の法的取扱いを詳細に分析した結果、団体は自然人とは異なり、それ自体としては権利や義務の主体となることができないと結論付けました。しかし、現実の社会生活においては、団体が財産を所有したり、契約を締結したりする必要があり、そのため法律によって団体に権利主体としての地位を擬制的に与える必要があると考えたのです。
ギールケの団体法理論の影響
ギールケの法人擬制説は、当時のドイツ法学界に大きな影響を与え、1900年に施行されたドイツ民法典にもその影響が色濃く反映されています。
ただし、ギールケの理論は、団体を単なる法律の擬制物とみなすことから、団体の自律性や責任の所在を明確にできないという批判も受けてきました。そのため、現代のドイツ団体法においては、法人擬制説を修正し、団体の権利能力をより積極的に認める方向へと発展しています。