ギボンのローマ帝国衰亡史を読む
歴史書としての位置づけ
エドワード・ギボン著『ローマ帝国衰亡史』は、1776年から1789年にかけて出版された、ローマ帝国の歴史を扱った大著です。本著は、五賢帝時代末期の180年から東ローマ帝国滅亡の1453年までの約1300年間を網羅し、ローマ帝国衰退の原因について、当時の歴史資料を渉猟した上で考察を加えています。
構成と内容
全6巻から成る本書は、それぞれが独立したテーマと時代背景を持っています。
* **第1巻・第2巻:** 2世紀後半から4世紀末までを扱い、キリスト教の興隆とローマ帝国の衰退の兆候を対比的に描いています。
* **第3巻・第4巻:** ゲルマン民族の大移動と西ローマ帝国の滅亡、東ローマ帝国におけるユスティニアヌス1世の治世などを扱っています。
* **第5巻・第6巻:** イスラム教の勃興と東ローマ帝国への影響、十字軍、そして最終的に1453年のコンスタンティノープル 함락と東ローマ帝国の滅亡までを扱っています。
特徴
ギボンの『ローマ帝国衰亡史』は、以下のような特徴を持つ歴史書として知られています。
* **詳細な歴史叙述:** ギボンは膨大な量の史料を駆使し、ローマ帝国衰亡に至るまでの複雑な歴史的出来事を詳細に記述しています。
* **文学的な筆致:** ギボンの文章は、当時の歴史書としては珍しく、洗練された文体と皮肉を交えた表現が特徴的で、文学作品としても高く評価されています。
* **衰退の原因に関する考察:** ギボンは、ローマ帝国の衰退を単一の要因に帰するのではなく、キリスト教の台頭、蛮族の侵入、政治腐敗、道徳の堕落など、複合的な要因から分析しています。
史料的価値
ギボンの『ローマ帝国衰亡史』は、出版から200年以上を経た現在でも、ローマ帝国史研究において重要な古典として位置づけられています。当時の歴史観や社会状況を反映した作品としても価値があり、現代の読者にとっても、歴史的思考を深める上で多くの示唆を与えてくれる作品です。