## ギデンズの社会学の新しい方法基準の話法
###
社会学における解釈学的転回とギデンズ
ギデンズは、社会学における解釈学的転回、特に後期構造主義やポストモダニズムの影響を受けつつも、それらに対して批判的な立場をとっています。彼は、構造主義が社会構造を過度に重視し、行為者の主体性を軽視している点を批判し、一方でポストモダニズムが客観的な知識の可能性を否定し、相対主義に陥っている点を問題視しています。
###
構造化理論と二重解釈学
ギデンズは、構造と行為の二元論を超克するために、「構造化理論」を提唱しました。彼は、社会構造を、行為を制約するだけでなく、行為を可能にする資源としても捉え、行為と構造が相互に作用しあうダイナミックなプロセスとして社会を理解しようとしました。
また、ギデンズは、「二重解釈学」の概念を提唱しています。これは、社会科学者が社会を研究する際、人々の意味世界を解釈するだけでなく、社会科学者自身もまた、特定の意味世界に位置づけられた解釈者であることを自覚する必要があるという考え方です。
###
モダニティの考察と時間・空間論
ギデンズは、モダニティの特質として、時間と空間の分離、専門家システムの発達、抽象的なシステムへの依存などを挙げ、モダニティにおけるリスクや信頼の問題を分析しています。彼は、モダニティにおいては、伝統的な権威や知識が失われ、人々は自己のアイデンティティや人生の指針を自ら構築していく必要に迫られていると主張しています。
###
方法論的 eclecticism
ギデンズは、特定の方法論に固執することなく、研究対象や目的に応じて、様々な方法論を柔軟に組み合わせる「方法論的eclecticism」を主張しています。彼は、量的データと質的データを組み合わせた分析や、歴史分析と比較分析を組み合わせた研究などを重視しています。
これらの特徴から、ギデンズの話法は、社会構造と行為者の主体性、客観性と解釈、ミクロとマクロ、理論と実証研究など、従来対立的に捉えられてきた概念を統合しようとする試みとして特徴づけられます。