ギゾーのヨーロッパ文明史を読む
ヨーロッパ文明史とは
フランソワ・ピエール・ギゾーによって1828年から1832年にかけて執筆された歴史書です。原題は “Histoire de la civilisation en Europe”。ヨーロッパ文明の起源からフランス革命までを、政治、社会、文化など多角的な視点から考察しています。
本書の特徴
* **文明史の先駆的著作**: ギゾーは、政治史に偏っていた従来の歴史叙述を批判し、文明全体の進歩という視点から歴史を捉える「文明史」という新しい歴史叙述の方法を提示しました。
* **フランス革命の影響**: フランス革命を経験したギゾーは、歴史における自由の進歩という観点からヨーロッパ文明を捉えています。
* **比較史的手法**: ギゾーは、ヨーロッパ各国の歴史を比較検討することで、ヨーロッパ文明全体の発展過程を明らかにしようと試みています。
* **膨大な史料に基づく**: ギゾーは、膨大な史料を駆使して、ヨーロッパ文明の変遷を詳細に描き出しています。
* **明快な文章**: ギゾーの文章は明快で読みやすく、専門家でなくとも理解しやすい点が特徴です。
本書を読む意義
* **ヨーロッパ文明の全体像を把握**: ギゾーの著作を読むことで、古代からフランス革命までのヨーロッパ文明の全体像を大掴みすることができます。
* **歴史を動かす要因への理解**: ギゾーは、歴史を動かす要因として、政治制度、経済活動、宗教、思想、芸術など、様々な要素を総合的に考察しており、歴史に対する多角的な視点を養うことができます。
* **現代社会への示唆**: ギゾーは、歴史を単なる過去の出来事として捉えるのではなく、現代社会への教訓を引き出すための重要な素材と捉えていました。現代社会の課題を考える上でも、示唆に富む内容です。
注意点
* **19世紀当時の歴史観に基づく**: ギゾーの歴史観は、19世紀当時のヨーロッパ中心主義や進歩史観の影響を受けている点に留意が必要です。
* **近年の歴史研究の成果は反映されていない**: ギゾーの著作は19世紀に書かれたものであり、近年の歴史研究の成果は反映されていません。
現代語訳
現在、複数の出版社から現代語訳が出版されています。 岩波文庫版など、注釈が充実した版を選ぶと理解を深めることができます。