## ギゾーのヨーロッパ文明史の技法
### 叙述の歴史家
ギゾーは歴史を客観的な事実の羅列ではなく、
複雑な出来事や思想の背後にある繋がりを明らかにする叙述として捉えていました。
彼は膨大な一次資料を渉猟し、当時の社会状況や人々の心情を生き生きと描き出すことに重点を置きました。
### 進歩史観に基づく解釈
ギゾーは歴史を、理性と自由の進歩という観点から解釈しました。
彼はヨーロッパ文明史を、古代ギリシャ・ローマに始まり、キリスト教やゲルマン民族の影響を受けながら、
近代国家や市民社会といった「文明」へと発展していく過程として描きました。
特に、理性に基づく啓蒙主義やフランス革命を高く評価し、歴史の進歩における転換点と位置づけました。
### 比較分析の手法
ギゾーはヨーロッパ諸国の歴史を比較分析することで、
それぞれの特異性と共通点を浮き彫りにしようとしました。
例えば、イギリスの議会政治とフランスの絶対王政を比較することで、
両国の政治体制の違いを生み出した歴史的背景や思想的基盤を明らかにしようと試みました。
### 文明の内的要因と外的要因の相互作用
ギゾーは、ヨーロッパ文明の発展を、政治、経済、宗教、文化といった多様な要因の相互作用によって説明しようとしました。
彼は、文明の進歩を促す内的要因として、個人の自由と理性、法の支配、市民社会の発達などを挙げました。
一方で、戦争や民族移動といった外的要因も、文明の進路に大きな影響を与えると考えました。
### 明晰かつ流麗な文章表現
ギゾーは歴史を専門家だけのものではなく、広く一般の人々に伝えることを目指しました。
そのため、難解な専門用語を避け、明晰かつ流麗な文章で歴史を叙述しました。
彼の著作は、歴史書でありながら文学作品としても高い評価を受けています。