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キルケゴールの死にいたる病の思考の枠組み

## キルケゴールの死にいたる病の思考の枠組み

絶望とは何か

キルケゴールは、

> 絶望とは自己でありたいという人間の欲求と、自己でありたくないという人間の欲求との間の葛藤である

と述べています。人間は自己を確立し、維持することを望む一方で、自己の不完全さや有限性に直面し、自己でありたくないという気持ちを抱きます。この相反する二つの欲求の葛藤こそが絶望を生み出すとキルケゴールは考えました。

絶望の形態

キルケゴールは絶望を以下の二つの主要な形態に分類しました。

1. **無意識の絶望**: 自分が絶望していることに無自覚な状態。
2. **意識的な絶望**: 自分が絶望していることを自覚している状態。

さらに、それぞれの形態には、自己でありたいという欲求と自己でありたくないという欲求のどちらが強いかによって、いくつかの段階が存在します。

**無意識の絶望**は、

* 自己を欠如していることに気づいていない状態
* 自己を誤って理解している状態
* 自己に無頓着な状態

などが挙げられます。

**意識的な絶望**は、

* 自己を絶望から救い出そうともがく状態(「挑戦」)
* 自己を諦めて絶望に身を委ねる状態

などが挙げられます。

絶望からの回復

キルケゴールは、絶望からの回復は**信仰**によってのみ可能であると考えました。信仰とは、自己の有限性を認め、無限なる存在(神)に自己を委ねることです。自己の力では克服できない絶望も、神への信仰によって乗り越えられるとキルケゴールは説いています。

ただし、キルケゴールは信仰を容易な解決策とは考えていません。信仰は、自己の限界を認め、神に完全に身を委ねるという、容易なことではない選択を伴います。

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