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キケロの老年についての構成

## キケロの老年についての構成

1. 序論 (1-5)

ここでは、キケロは親しい友人アッティクスに、老年の苦しみを慰めるためにこの書を執筆したと述べています。また、老いに対する一般的な不満、すなわち、

1. 活動できないこと
2. 肉体の衰え
3. 死の近さ

を挙げ、これらについて反論していくことを宣言します。

2. 老いは活動の妨げにならない (6-21)

この部分では、老いても精神活動は衰えず、むしろ経験や知識によって豊かな活動が可能であることを、歴史上の偉人たちの例を挙げて論証します。特に、

* 政治・軍事に携わらなくても、助言や教育を通して若者を導くことができる
* 農業は老人に適した活動であり、精神的な喜びをもたらす

といった主張を展開します。

3. 肉体の衰えは問題ではない (22-29)

ここでは、老いによる肉体の衰えは自然なことであり、むしろ節度ある生活を送ることで健康を保てることを説きます。また、若さの快楽よりも、老いの落ち着いた喜びを重視すべきであると主張します。

4. 死は恐れるべきものではない (30-85)

この部分は、老いと死の関係に焦点を当てています。キケロは、

* 死は自然の摂理であり、すべての人間に訪れるものであること
* 魂は不滅であり、死後も別の世界で生き続けること

を論じ、プラトンの哲学などを引用しながら、死に対する恐れを払拭しようと試みます。

5. カトーの演説 (86-99)

最後は、ローマの英雄マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス(大カト)の口を借りて、老いと死に対する積極的な賛歌が語られます。カトは、

* 老いは人生の収穫期であり、若者が羨むほどの幸福をもたらすこと
* 死は新たな生への出発であり、それを恐れる必要はないこと

を力強く宣言し、作品全体を締めくくります。

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