## キケロの義務についての機能
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政治的混乱期における行動指針
「キケロの義務について」は、共和政ローマ末期の政治的混乱期に書かれました。キケロ自身の政治活動が制限され、共和政の理想と現実との乖離が深まる中で、息子マルクスへの教育という形で、未来を担う世代に何を託すべきかを考え抜いた著作です。
ストア派の倫理思想の影響を受けながらも、キケロは単なる哲学書ではなく、現実社会で機能する実践的な倫理を提示しようとしました。
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義務と徳の関係、そして幸福
キケロは、「正直さ」「正義」「勇気」「節制」といった伝統的なローマの徳を重視し、人間の自然本性に従うことこそが真の幸福に繋がると説きます。 そして、徳に従って生きることで自ずと「義務」を果たすことができるとしました。
義務は、「ふさわしいこと」と「有益なこと」の対立から生じることがありますが、キケロは真に有益なことは、常にふさわしいことと一致すると論じています。
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具体的な事例を用いた実践的な倫理
「キケロの義務について」の特徴の一つとして、抽象的な議論に終始するのではなく、歴史上の人物や出来事などを例に挙げながら、具体的な状況における判断と行動について考察している点が挙げられます。
これにより、読者は自身の置かれた状況に置き換えて考えることができ、より実践的な倫理的判断を学ぶことが期待できます。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。